クラウドインフラ構成比較
AWS / Google Cloud / Cloudflare
GitHub Issue #5317「インタビュールーム(WebRTC機能)を独立した新アプリに切り出す」のインフラ選定(2026-07-02 時点の調査に基づく。単価は 2026-07-03 に各社公式料金ページと照合済み)。
0結論サマリ
| Cloudflare 主軸 | Google Cloud 主軸 | AWS 主軸 | |
|---|---|---|---|
| ホスティング層 月額 | 約 $61〜91 | 約 $130〜150 | 約 $135〜200 |
| アイドル固定費 | 低(DB=Supabase のフロア ~$25/月のみ。サブの Neon 採用時はほぼゼロ) | 低(DBフロアを回避すれば) | 低〜中(工夫が要る) |
| 録画視聴(下り転送) | $0(R2無料) | 従量($0.12/GB) | 従量($0.085〜0.114/GB) |
| PostgreSQL | ネイティブ無し→外部 Supabase(東京)が主候補(サブ: Neon) | Cloud SQL(常時フロア)/ 外部 | Aurora Serverless v2(auto-pause可) |
| AI Agent(Python) | 3クラウド共通:LiveKit Cloud Managed Agent Hosting で自前不要(lk agent deploy) | ||
| データ所在の保証(国内保管) | ✗ 保証不可(録画の R2 がリージョン保証なし。DB は Supabase 東京で保証可) | ◎ 東京リージョンで保証可 | ◎ 東京リージョンで保証可 |
| 単一クラウド完結性 | △(DB=外部Supabaseのみ外出し) | ◎ | ○ |
- ホスティング費の差は月 $40〜140。
- AIモデレーターの Python Agent は LiveKit Cloud の Managed Agent Hosting で実行。ビルド・自動スケール・ライフサイクル・シークレット/ログは LiveKit が管理し、自前の常駐ワーカー(Fargate / Cloud Run)は不要。自前クラウドからの外出しは PostgreSQL(外部Supabase)のみ。
- Cloudflare の構造的優位は R2 の下り転送無料。DB は「東京リージョン×即復帰 scale-to-zero を両立する PostgreSQL が存在しない」(§4-4)ため東京配置を優先して Supabase を主候補とし、C2 のフロア(~$25/月)は許容する。厳密にゼロへ寄せる場合のみサブの Neon(scale-to-zero だが東京なし)。
- ただしこの結論は §0-2 の2要件(データレジデンシ/コンプライアンス)が「不要」と確認できた場合に限る。国内保管要求が1社でも現実にあるなら CF 主軸は録画側(R2)が満たせず構成ごと成立しない。選定の決め手はコスト差ではなく「§0-2 の要件」と「評価軸の選択(§5-0)」。
0-2選定より先に確認すべき要件(結論を覆しうる)
(a) データレジデンシ(録画・DBの国内保管要求)
実査の録画は個人情報(発言内容次第で要配慮情報を含みうる)。B2Bクライアント企業のセキュリティチェックシートでは「データの国内保管」要求が現実に出る。
| 録画ストレージ | PostgreSQL | |
|---|---|---|
| Cloudflare | ✗ R2 は保存リージョンを保証できない。location hint(APAC)はヒントに過ぎず、jurisdiction 指定も EU / FedRAMP のみで日本は無い | ◎ 主候補 Supabase(AWS 東京)で保証可。サブの Neon は東京なし(確定・2026-07-02 公式リージョン一覧で確認、最寄りは Singapore) |
| Google Cloud | ◎ GCS 東京リージョンで保証可 | ◎ Cloud SQL 東京で保証可 |
| AWS | ◎ S3 東京リージョンで保証可 | ◎ Aurora 東京で保証可 |
- 国内保管要求が1社でもあれば、CF主軸は録画側の R2 が失格(DB は主候補 Supabase 東京で満たせる)となり第一候補から外れる。営業・法務への確認が全ての意思決定に先行する。
- DB の主候補は Supabase(AWS東京リージョン)のため DB 側の国内保管は満たせる。ただし2点注意(2026-07-02確認):(1) Supabase の scale-to-zero(Nano instance)は「Supabase for Platforms」限定の早期アクセスで、一般プロジェクトは常時起動コンピュート(Pro $25/月〜)=Cloud SQL 並みのフロアが乗る。(2) 録画の R2 レジデンシ問題は残るため、CF案の本項の失格は覆らない。
(b) LiveKit Cloud のコンプライアンス階梯(Scale プラン強制リスク)
- 顧客のセキュリティ審査で SOC 2 レポート提出やメディア経路のリージョン固定を求められると Scale が強制され、LiveKit 費用が +$450/月。これはクラウド間のホスティング差($40〜140)の3〜11倍で、この場合はクラウド選定より LiveKit プラン選定が総コストの支配項になる。
- → §6 の 2番で「顧客要求として SOC2 / リージョン固定が出る見込み」を営業・法務に確認する。
1インフラ構成要素(3クラウド共通の抽象)
3平面構成(コントロール/データ/メディア)から抽出した、ホストが必要な要素。
| # | コンポーネント | 役割 | 常駐性 | scale-to-zero 適性 |
|---|---|---|---|---|
| C1 | Next.js アプリ | SSR + Route Handlers(コントロール/データプレーンAPI・Webhook受信)。フロントエンドのホスティングもここに含む:UI配信(SSR+静的アセット)とAPIは同一デプロイでフロント別立てはしない。静的アセット配信は C7 が担い、ルームUIの実体(映像レンダリング・LiveKit接続)はブラウザ側で動く | リクエスト駆動 | ◎ |
| C2 | PostgreSQL | コア16エンティティ(Session / Room / Participant / ChatMessage / Recording / Transcription…) | 常時(接続プール) | △(製品による → §4-4) |
| C3 | オブジェクトストレージ | 録画mp4・チャット添付 | 常時(保管) | ◎(保管は従量) |
| C5 | 非同期ワーカー / バッチ | 文字起こし(OpenAI / ElevenLabs)・要約・録画後処理 | 断続 | ◎ |
| C6 | AIモデレーター実行基盤 | LiveKit Agent(Python)+ OpenAI Realtime 進行。LiveKit Cloud Managed Agent Hosting で実行=自前サーバ不要 | LiveKit Cloud が管理 | 自前不要(LiveKitに委譲) |
| C7 | CDN / エッジ配信 | フロント静的アセット(JSバンドル等)・録画視聴の配信 | — | ◎ |
| E1 | LiveKit Cloud(外部SaaS) | メディアSFU+データfanout+Egress録画 | — | 外部SaaS(試算対象外) |
| E2 | OpenAI / ElevenLabs(外部API) | Realtime進行・STT・要約 | — | 外部SaaS(試算対象外) |
2各クラウド構成案(drawio 構成図)
2-0. デプロイ方式の違い(混同注意)
「Dockerfileをデプロイ」で合っているのは Cloud Run のみ。Cloudflare Workers は Docker/コンテナではなく、wrangler deploy で JS/TS/WASM を V8 isolate に配布する(Next.js は OpenNext が Worker 形式に変換。コンテナ非生成。これがコールドスタートゼロの理由)。
| コンポーネント | デプロイ方式 | Dockerfile? |
|---|---|---|
| Google Cloud Run | コンテナ(Dockerfile or Buildpacks 自動) | ✅ |
| Cloudflare Workers(Next.js / OpenNext) | wrangler deploy(isolate へ JS/TS/WASM) | ❌ |
| Cloudflare Containers(Workers と密結合の拡張・重処理逃がし用) | コンテナイメージ | ✅ |
| LiveKit Managed Agent | Dockerfile → LiveKit がビルド | ✅ |
| AWS Lambda | zip または コンテナイメージ | △ 両対応 |
→ CF主軸案は「Workers=非Docker」と「LiveKit Agent / Containers=Docker」が混在。GCP案は Cloud Run で全てコンテナ(Dockerfile)に統一でき、デプロイモデルが単一(§3 の GCP 運用メリットの実体)。
2-1. Cloudflare 主軸
Workers + R2 + 外部Supabase<script type="text/xml"> 内 drawio XML を参照)。図1: Cloudflare 主軸構成(drawio)。AI Agent は LiveKit Cloud Managed Agent Hosting に委譲、DB のみ外部 Supabase(AWS 東京)。
- C1 Workers(OpenNext)or Pages Functions。C2 ネイティブ PostgreSQL 不在(D1 は SQLite で16エンティティのリレーショナル / JSON 要件に不足)→ 外部 Supabase(AWS 東京)+ Hyperdrive を主候補(サブ: Neon=scale-to-zero だが東京なし → §4-4)。C3 R2。C5 Queues + Cron。C6 は LiveKit Cloud の Managed Agent Hosting に委譲(
lk agent deploy)= Cloudflare 側に Agent 基盤を持たない。C7 標準搭載。 - → Cloudflare で持たないのは C2(PostgreSQL = Supabase)だけ。
2-2. Google Cloud 主軸
Cloud Run 一本に統一<script type="text/xml"> 内 drawio XML を参照)。図2: Google Cloud 主軸構成(drawio)。フロント・バッチを Cloud Run(コンテナ)に統一、全データを東京リージョンに置ける。
- C1 / C5 を Cloud Run に統一(コンテナ・scale-to-zero)。C2 Cloud SQL(scale-to-zero 不可=弱点。固定費最小重視なら外部 Neon で回避。ただし Neon は東京なしのためレジデンシ §0-2(a) の弱点を持ち込む点に注意)。C3 GCS。C6 LiveKit Cloud Managed Agent に委譲。C7 Cloud CDN。
- 強み:フロント・バッチが単一プラットフォームに統一され運用が単純。全データを東京リージョンに置ける(§0-2)。
2-3. AWS 主軸
Lambda + Aurora Serverless v2<script type="text/xml"> 内 drawio XML を参照)。図3: AWS 主軸構成(drawio)。Aurora Serverless v2 auto-pause+Data API 前提(RDS Proxy は auto-pause と両立しない → §3注)。
- C1 Lambda(OpenNext / SST。CloudFront + Lambda Function URLs が標準構成)。C2 Aurora Serverless v2(min 0 ACU auto-pause でアイドル費を抑制、ただし復帰遅延あり)。C3 S3。C5 SQS + Lambda。C6 LiveKit Cloud Managed Agent に委譲(自前基盤不要)。C7 CloudFront。
- 注意:素直に RDS を選ぶとアイドルフロアが乗る。Aurora Serverless v2 auto-pause(min 0 ACU)で「固定費最小」に到達する。
3メリット・デメリット
Cloudflare
約 $61〜91/月メリット
- DB 以外のアイドル固定費が実質ゼロ:Workers / R2 / Queues は scale-to-zero・従量(Workers Paid $5/月+従量)。DB は Supabase のフロア ~$25/月が乗る(サブの Neon 採用時はゼロだが東京なし)。
- R2 の下り転送が無料:録画視聴・配信の課金がゼロ。視聴が伸びるほど他社比で効く(C3 の構造的優位)。
- エッジ配信・DDoS 防御・WAF が標準。データプレーンの HTTP Route Handler が低レイテンシ。
デメリット
- ネイティブ PostgreSQL が無い:D1 は SQLite。16エンティティ(リレーション・JSON・履歴API)には PostgreSQL が要る → 外部 Supabase(東京)+Hyperdrive で外出し(残る唯一の外出し。サブ: Neon)。
- 録画(R2)の所在を保証できない:R2 はリージョン保証・日本 jurisdiction が無い(§0-2(a))。DB は Supabase 東京で国内化できるが録画側が残るため、国内保管要求が出た時点で構成ごと失格になる単一障害点。
- Workers のリソースは固定:メモリ 128MB/isolate(指定不可)、CPU 時間は
cpu_msで最大5分まで設定可だが割り当て性能(vCPU等)は選べない。リソース指定が要る重処理(録画のサーバー側加工等)が将来出た場合は Cloudflare Containers / 外部 Cloud Run へ逃がす前提になる。
Google Cloud
約 $130〜150/月メリット
- C1 / C5 を Cloud Run 一本に統一:フロント・バッチをコンテナで素直に運用できる。
- Next.js もコンテナでそのまま(OpenNext 等の変換不要)。移行・運用がシンプル。
- 全データ(DB・録画)を東京リージョンに置け、国内保管要求に即答できる(§0-2)。DB をアプリと同リージョンに置ける。
デメリット
- Cloud SQL が scale-to-zero 不可:最小でも常時 $25〜50/月のフロア。「アイドル固定費最小」に唯一反する。回避には外部 Neon 採用が要る(ただし §0-2 の弱点を持ち込む)。
- 録画視聴の転送が従量($0.12/GB, asia)。視聴が増えると効く。Cloud CDN で一部緩和。
AWS
約 $135〜200/月メリット
- 既存の AWS 資産・チームの習熟と親和(S3 運用、IAM、監視の流用)。LiveKit 録画の S3 egress も一級サポート。
- Aurora Serverless v2 auto-pause + Lambda で、工夫すれば固定費最小と全要件充足を両立できる(最も選択肢が広い)。
- 全データを東京リージョンに置け、国内保管要求に即答できる(§0-2)。
デメリット
- 固定費最小に到達するのに設計努力が要る:素直に RDS / ElastiCache を選ぶとアイドルフロアが乗る。Aurora auto-pause は復帰遅延(コールドスタート)UX に注意。
- 複雑さの主因は Aurora auto-pause の運用と OpenNext(AWS) のデプロイ構成:役者は Lambda / SQS / Aurora で GCP 案と大差ないが、(1) auto-pause の復帰遅延と接続管理(接続管理は実質必須)、(2) OpenNext(AWS) の作り込み、が上乗せになる。
- 録画視聴の転送が従量($0.085〜0.114/GB)。
Lambda は実行環境ごとに個別の DB 接続を張るため、同時実行スパイクで Aurora の max_connections を食い潰す。対策なしの直結は不可(=何らかの接続管理が実質必須)。ただし:
- RDS Proxy は auto-pause を無効化する:プロキシが常時接続を維持するため、Aurora Serverless v2 は 0 ACU にスケールしない(AWS公式の制限事項)。「auto-pause で固定費最小」という本案の前提と正面衝突。
- さらに RDS Proxy 自体に時間課金(東京・Serverless v2 向け $0.025/ACU-時)が乗り、二重に前提を壊す。なお通説の「最低 8 ACU のフロア」は公式料金ページでは確認できなかった(仮に 8 ACU 相当なら東京単価で月$146級)。
- → auto-pause 前提を保つなら RDS Data API が実質一択(HTTPベース・接続レス・従量課金・auto-pause と両立)。制約(結果セットサイズ上限・トランザクションは API 経由・ORM は Drizzle 等の Data API アダプタ経由)を PoC で要検証。
- → RDS Proxy を採るなら auto-pause を放棄して min ACU 保持へ方針転換(「固定費でレイテンシ保証」側への再選択。Aurora の min-ACU 常時保持(0.5 ACU で月$55級)+Proxy 課金が乗り、固定費最小の看板は下りる)。
4月額コスト試算(Medium規模・ホスティング層のみ)
LiveKit・OpenAI 等の外部SaaS費はどのクラウドを選んでも同額(選定に影響しない)ため対象外。クラウド選定で差がつくホスティング層のみを試算する。
4-1. ホスティング層の内訳
用語:「録画視聴」コスト = 保存済み録画を視聴/ダウンロードする際の下り転送(egress)費。保管料(storage at rest)とは別コストで、視聴のたびに発生(振り返りフェーズの録画閲覧・文字起こしDL)。R2 は無料、S3 $0.114・GCS $0.12/GB(いずれも東京・最初の転送量帯)。保管だけなら3社ほぼ同額で、差は視聴時の転送費に出る。
現行 minedia-www の実装(コード確認済み):録画視聴は S3 presigned URL 方式(app/helpers/employees/interviews_helper.rb:2-13 の Aws::S3::Presigner#presigned_url を <video src> に埋め込む)。CloudFront 等の CDN を経由しないため、視聴のたびに S3 の下り転送費がフルに発生。→ R2 は S3 API 互換で Aws::S3::Presigner パターンをほぼそのまま移植でき、現行で払っている S3 の下り転送費をそのまま無料化できる(移行コスト小・効果直取り)。なお LiveKit Egress → R2 は公式サポート(S3互換ストレージ、force_path_style: true 必須)を確認済み。
| コンポーネント | Cloudflare | Google Cloud | AWS |
|---|---|---|---|
| C1 Next.js | Workers ~$15(基本$5+従量~$10) | Cloud Run ~$20(従量) | Lambda ~$20(従量) |
| C2 PostgreSQL | Supabase ~$25(Pro・常時起動)/サブ: Neon ~$22(従量) | Cloud SQL ~$35(常時稼働+ストレージ。or Neon ~$22 ※§0-2 留意) | Aurora Sv2 ~$25(稼働ACU+ストレージ)+ Data API 従量(※RDS Proxy 不可・§3注) |
| C3 ストレージ保管 | R2 ~$18(1.2TB) | GCS ~$28(1.2TB) | S3 ~$30(1.2TB) |
| C3 録画視聴 | $0(R2下り無料) | ~$48(400GB×$0.12) | ~$46(400GB×$0.114) |
| C5 バッチ | Queues ~$3(従量) | Cloud Run Jobs ~$5(従量) | SQS+Lambda ~$5(従量) |
| C6 AI Agent 基盤 | $0(LiveKit Cloud に委譲) | $0(同左) | $0(同左) |
| C7 CDN | $0(Workers に込み) | Cloud CDN ~$10(転送従量) | CloudFront ~$10(転送従量) |
| ホスティング小計 | 約 $61〜91 | 約 $130〜150 | 約 $135〜200 |
各行の算定前提(Medium規模での概算根拠)
- C1(アプリ実行):すべてリクエスト/実行時間の従量課金。月間リクエスト数百万件・SSR実行時間相当を想定。Cloudflare のみ Workers Paid の基本料 $5/月が乗る(リクエスト単価 $0.30/百万+CPU時間課金)。
- C2(PostgreSQL):課金モデルが3者3様。Supabase $25 = Pro プランの月額(常時起動コンピュート・CF案の主候補)。Neon ~$22 = Launch プランの従量課金(サブ候補。旧「$19/月固定」体系は廃止済み・2026-07-03 公式料金で確認:compute $0.106/CU-時 × ~0.25CU × 150〜200h ≈ $4〜5 + ストレージ ~50GB × $0.35/GB-月 ≈ $17.5。アイドル時 compute $0)。Cloud SQL ~$35 = 最小〜小構成インスタンスの24時間365日稼働+ストレージ(scale-to-zero 不可のため常時課金)。Aurora ~$25 = アクティブ時間分の ACU 課金+ストレージ:auto-pause 中(夜間・週末)は $0、業務時間帯の断続稼働(~0.5 ACU × 150〜200h/月 × $0.15/ACU-時=東京・Standard ≈ $11〜15)+DBストレージ ~50GB($0.12/GB-月 ≈ $6)。Data API は別途リクエスト従量(この規模では数$)。
- C3 保管:録画は video composite(映像合成)方式で確定。180日保管の定常在庫 ~1.2TB × 保管単価(東京: R2 $0.015 / GCS $0.023 / S3 $0.025 /GB月)。
- C3 録画視聴:月間の視聴/DLによる下り転送 ~400GB × 転送単価(東京・最初の転送量帯: R2 $0 / GCS $0.12 / S3 $0.114 /GB)。
- C5(バッチ):ジョブ実行時間の従量(Queues は $0.40/百万オペレーション)。処理の実体は外部API呼び出し(文字起こし・要約)でコンピュート消費は軽い。
- C7(CDN):静的アセット・ページ配信の転送量従量。Cloudflare は Workers に配信が含まれるため追加費なし。
4-4DB製品ごとの scale-to-zero 対応
「東京リージョン」と「即復帰の scale-to-zero」を両立する PostgreSQL は現状存在しない。これが本選定の最大の構造的制約。
Neon
◎ scale-to-zero 対応- Scale-to-zero
- ◎ アイドル時 compute $0。復帰は数百ms(公称 ~0.5秒前後)
- 東京リージョン
- ✗ 無し(確定・2026-07-02 公式確認。最寄り Singapore)
- 備考
- 東京なしのため CF 案ではサブ候補(海外往復レイテンシは別途調査・実測へ)。料金は従量(compute $0.106/CU-時+ストレージ $0.35/GB-月・月額固定なし。旧「Launch $19/月固定」は廃止済み)
Supabase(一般プロジェクト)
✗ scale-to-zero 不可- Scale-to-zero
- ✗ 常時起動コンピュート(Pro $25/月〜)。Nano instance の scale-to-zero は「Supabase for Platforms」限定の早期アクセス(要パートナー契約・2026-07-02確認)で一般プロジェクトは対象外
- 東京リージョン
- ◎ あり(AWS 東京)
- 備考
- フロアは Cloud SQL と同水準。CF 案の主候補(東京配置を優先し scale-to-zero を諦める)
Cloud SQL(PostgreSQL)
✗ scale-to-zero 不可- Scale-to-zero
- ✗ 常時稼働フロア $25〜50/月。「アイドル固定費最小」に唯一反する GCP 案の弱点
- 東京リージョン
- ◎ あり
- 備考
- GCP 案の既定。国内保管要件があるならフロアを許容して採用。※2026年時点で scale-to-zero 対応の developer edition が存在するが AI Studio 連携用の限定的位置づけで本番DB用途外
Aurora Serverless v2
○ auto-pause で準対応- Scale-to-zero
- ○ min 0 ACU の auto-pause でアイドル時 compute $0。ただし復帰 ~十数秒(予約制でも体感に響く)・接続は Data API 前提(RDS Proxy は auto-pause を無効化+Proxy 自体の時間課金も別途 → 併用不可)
- 東京リージョン
- ◎ あり
- 備考
- 「東京×scale-to-zero」の両立に最も近い(復帰遅延を許容すれば)
| C2候補 | 東京 | scale-to-zero | アイドル時フロア | 復帰遅延 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| Neon | ✗(最寄り Singapore) | ◎ | $0(従量・月額固定なし) | 数百ms | 東京なし=CF 案ではサブ候補(レイテンシは別途調査) |
| Supabase(一般) | ◎(AWS東京) | ✗ | 常時 ~$25/月〜 | —(常時起動) | CF 案の主候補。Nano の scale-to-zero は Platforms 限定早期アクセス |
| Cloud SQL | ◎ | ✗ | $25〜50/月 | —(常時起動) | GCP 案の既定 |
| Aurora Serverless v2 | ◎ | ○(auto-pause) | $0(pause 中) | ~十数秒・Data API 前提 | 両立に最も近い(復帰遅延を許容すれば) |
5推奨
本比較の最優先軸「アイドル固定費最小」は所与としてきたが、ホスティング差は月$40〜140(約0.6〜2.1万円)で、エンジニア1〜2時間の人件費で消える額である。一方、CF 主軸がこの差額と引き換えに積むリスクは:
- OpenNext(Workers版 Next.js)互換性の作り込み・128MB / 6接続の設計規律
- DB 外部依存(Supabase。障害時の切り分けが Cloudflare / Supabase / LiveKit の3社跨ぎ)
- チーム(Rails / AWS 習熟)にとって新規スタックの学習コスト
「運用コスト最小化」に人件費・リスクを含めるなら、リスク調整後の最適は GCP 単一になる可能性が高い。逆に「クラウド請求額の最小化」が文字通りの目標であり、§0-2 の2要件がクリアなら CF 主軸が最適。どちらの軸を採るかを ADR の冒頭で明示的に決めること(§6 の 6番)。
Cloudflare 主軸(+ Supabase + LiveKit Managed Agent)
条件:クラウド請求額最小を軸とし、§0-2 がクリアの場合。R2 の下り転送無料が効きホスティング最安。DB は「東京×即復帰 scale-to-zero の両立 Postgres が存在しない」(§4-4)ため、東京配置を優先して Supabase を主候補とする(サブ: Neon)。
| レイヤー | 配置 | 理由 |
|---|---|---|
| データプレーン(HTTP)・SSR | Cloudflare(Workers) | scale-to-zero・エッジ低レイテンシ |
| 録画・添付ストレージ+視聴配信 | Cloudflare R2 | 下り転送無料(視聴が伸びても定額的) |
| PostgreSQL | Supabase(AWS 東京)(+ Hyperdrive) | マネージド Postgres・東京配置で国内保管に対応(唯一の外出し)。サブ: Neon(scale-to-zero だが東京なし) |
| AIモデレーター Agent | LiveKit Cloud Managed Agent | lk agent deploy でホスティング委譲・自前サーバ不要 |
| 文字起こし / 要約バッチ | Cloudflare Queues + Cron(重処理は LiveKit Agent / 外部API) | scale-to-zero |
- 利点:DB フロア(~$25/月)以外の固定費ほぼゼロ+録画視聴無料+自前の常駐サーバ皆無。ホスティング最安(約$61〜91/月)。運用境界は Cloudflare / Supabase / LiveKit の3者だが、いずれもマネージドで常駐管理が要らない。
- 成立条件:(1) §0-2(a) データレジデンシ要求が「録画」に及ばないこと(DB は Supabase 東京で満たせるが、R2 側は残るため先決)。(2) C2 のアイドル固定費ゼロは諦めること(厳密にゼロへ寄せる場合のみサブの Neon=東京なし・レイテンシは別途調査)。
- 代償 / 留意:(1) Cloudflare Workers 上の Next.js(OpenNext)互換性の作り込み。(2) DB レイテンシは採用構成での実測が未了(§6 の 4番)。
Google Cloud 主軸
条件:単一クラウド完結・リスク調整後TCO・国内保管要件のいずれかを重視する場合。
- 理由:フロント・バッチを Cloud Run に統一でき運用が単純。全データを東京リージョンに置けるため §0-2(a) に即答できる。
- 固定費最小化の条件:PostgreSQL は (a) 国内保管要件があるなら Cloud SQL 最小構成(フロア $25〜50/月を許容)、(b) 無ければ外部 Neon も可。
- 弱点は録画視聴の従量課金だが、Medium 規模では月$48程度で許容範囲。
5-3. AWS を採る場合
- 既存 AWS 資産が厚い・チームが AWS 前提の場合のみ。Aurora Serverless v2 auto-pause + Lambda で固定費最小に到達できる(Agent は LiveKit マネージドに委譲)。
- 構成の複雑さは GCP 案と大差ないが、Cloudflare / GCP よりホスティング費はやや高い。auto-pause のコールドスタート UX を事前検証すること。
- 接続方式は RDS Data API 前提(接続管理は実質必須だが、RDS Proxy は auto-pause を無効化し Proxy 自体の時間課金も乗るため本案では不可・§3注)。
6未決・次アクション
- 最優先データレジデンシ要件の確認:クライアント企業のセキュリティ要件として「録画・個人情報の国内保管」要求が現実にあるか/今後の商談で出る見込みかを営業・法務に確認(§0-2(a))。要求ありなら CF 主軸は録画側(R2)が満たせず候補から外れ、以降の比較の大半が GCP vs AWS に変わる。
- 最優先LiveKit コンプライアンス要件の確認:顧客要求として SOC 2 レポート提出・メディア経路のリージョン固定が出る見込みを確認。出るなら Scale プラン(+$450/月)を前提にコスト全体を再確認(§0-2(b))。
- 規模の実値確定:現行 minedia-www の月間インタビュー数・平均参加者・観察者数・録画視聴回数を実測 → 本試算を精緻化(録画の保管量と視聴転送量が感度大)。
- DB 定常レイテンシ・コールドスタートの別途調査・実測:定常レイテンシ(旧 §4-3)とコールドスタート特性(旧 §4-2)は本書から切り出して別途調査する。主候補 Supabase 東京/サブ Neon Singapore のそれぞれでチャット POST の end-to-end レイテンシを、scale-to-zero 構成(Neon / Aurora auto-pause / Cloud Run min=0)ではアイドル明けの復帰時間を PoC で実測し、許容可否を判断する。
- 評価軸の決定と第一/第二推奨の意思決定:§5-0 の問い(クラウド請求額最小 vs リスク調整後TCO)に答えた上で、§5-1 と §5-2 のどちらを取るか → ADR 化。ADR の冒頭に「採用した評価軸」と「§0-2 の確認結果」を記載すること。